復讐ファンタジー

アンガーマネジメントのテクニックを使って怒りを抑えようとしても、なかなか長続きしないこともよくあります。というのも、その場では怒りをおさめることができても、毎度怒りを抑えるのに疲れてきて、結局はまた怒りが爆発してしまうからです。いくら頑張ってダムの水を抜こうとしても、ひっきりなしに水がダムにながれ込んでしまうと、いずれはダムが決壊してしまうようなものです。

怒りの水が心のダムに流れ込む原因はいくつかありますが、その一つに「復讐ファンタジー」があります。

「復讐ファンタジー」とは、怒りを感じている相手に対して、「今度あいつが同じようなことをしたら、次こそはこんなことをしてやる!!」というように、頭の中で復讐劇を創り上げることです。

多くの場合、私たちはこの「復讐ファンタジー」を無意識でやっており、気づくと膨大な時間とエネルギーをこの仮想の復讐劇に費やしていたりします。そして、それが心のダムに怒りの水を流しこむことになるわけです。

では、どうやってこの「復讐ファンタジー」に対処できるのでしょうか。

まずは、復讐劇に頭を巡らせている自分に気づくことが大切な第一歩です。先にも書いた通り、この「復讐ファンタジー」はほとんどの場合、無意識で行われ、それにハマっていることを認識することも稀です。自分が気づいていないものを対処するのは、ほぼ不可能に近いので、まずはこの「復讐ファンタジー」をしている自分を客観的に認識してみましょう。

次に、自分の思考パターンを少し修正してみましょう。「復讐ファンタジー」にハマっているときには、“いかに自分が正しく、相手が間違っているか”ということに固執してしまっています。しかしこの「正しい・正しくない」思考は、大体怒りを悪化させるだけなので、“これを今考えることは本当に役に立つの?それとも気分を悪くするだけ?”というような「役に立つ・立たない」思考に修正するのが助けになります。そして、もし“役に立たない”のであれば、他のことを考えたり、何か別のことをしたりするなどして、自分の意識を別の方向に持っていきましょう。

怒りは自然な感情なので、それ自体は悪いものではないのですが、なんせエネルギーの消費量の大きい感情なので、「復讐ファンタジー」で自分の1日のエネルギーを無駄にしないようにしたいですね。

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