学力が下がる部屋
模試では良い評価がとれるのに、本番の試験では結果がイマイチだとか、高校までは成績が良かったのに、大学に入ったとたん成績が並以下になってしまった、というような経験をしたことはありませんか?
このようなときには、自分は本番のプレッシャーに弱いんじゃないかとか、大学で勉強のモチベーションを保ててないんじゃないかとか、自分自身に何かの問題があると考えがちですが、ひょっとしたら環境が原因かも、という研究が最近発表されました。
これは南オーストラリア大学とディーキン大学で行われた心理学と建築学がコラボしたなかなか興味深い研究です。この研究は大学生を対象にしており、期末テスト等を受ける教室の環境が、テスト結果に影響するのかということを調べたものです。生徒の性別・年齢、部屋の温度・明るさ・騒音レベルなどの要素を徹底的に調べ上げ、ついにテスト結果に明らかに影響する環境的な一つの要因を発見しました。
それは、天井の高さです。
この研究によると、天井の高い部屋で試験を受けた学生達は、天井の低い部屋で試験を受けた学生達より、あきらかに試験結果が悪くなるということでした。
なかなか不思議な現象ですよね。天井の高さと学力・集中力って、全然別物のように思えるんですけど、心理的には何らかの関係性があるということです。
だとすると、天井の高い大部屋の受験会場で実力が出せなかったり、天井の高い大学の講堂だと成績が落ちるのも納得できますよね。なので、天井の高い教室や講堂で試験を控えている人は、あらかじめそこに行って模擬試験をするなどをして、その環境に慣れるトレーニングをするのも良いかもしれません。そして学校側は、生徒に試験を受けさせるときには、天井が高くない教室を選ぶことにより、生徒が実力を発揮できる手助けができるかもしれませんね。
私たちの心理と建物・部屋の関係は、なかなか奥深そうです。
参照
Bower, I. S., Broadbent, J., Coussens, S., & Enticott, P. G. (2024). Elevated ceiling heights reduce the cognitive performance of higher-education students during exams. Journal of Environmental Psychology, 97, 102367.